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IoTやVRでTV番組はどう変わるのか? 前編

2017.07.19

すっかり身近な言葉として定着した感のある「IoT」や「VR」。様々な技術が開発され、メディアで紹介されていますが、こういった「IoT」や「VR」の進歩は、私たちが日常的に接しているTV番組をどう変えていくのでいくのでしょうか。今回はイベント「Connected Media Tokyo 2017」を通して、その行先を考察します。

会場の様子


■TV番組とVRの今


先日6月7日から9日、デジタルメディアを活用した技術の総合イベント「Connected Media Tokyo 2017」が幕張メッセで開催された。主に放送局と映像制作会社がブースを出展していた。話題の中心となっていたのが、“TV番組とVRの今”だ。


会場の様子


VR映像などの制作を手掛けるジョリーグッド社のブースでは、地方局と共同制作したVR映像での情報番組が展示されていた。筆者も幾つか拝見したが、例えばお酒の醸造所のレポート番組。お酒が作られていく過程に沿って、レポーターが紹介していく。インタビューの場面でも、レポーターの顔、インタビューを受けている人の顔、お酒の樽の中、周りの風景と、視聴者が自由に視点を変えられるので、自分がその場にいるかのような臨場感がある。見慣れたレポートものなのに、とても新鮮な感じだ。
一方で課題も幾つか見えてくる。①まず視聴者が自由に視点を変えるため、字幕テロップを入れるタイミングが難しい。この展示作品でも基本口頭での説明となっていた。②次にカメラの位置がずっと同じだと言うことだ。360°カメラを使っているので当然でもあるが、俯瞰など違う視点からの映像が無いことがストレスとなる。③そしてカメラと被写体(レポーターなど)の位置が非常に近い。これは常に360°を見渡せるようにするため、ピント(焦点)を常に近くにおいておく必要があるためだと考えられる。被写体が離れ遠くにピントを合わせると、周りを見渡した時、近くのものにピントが合わずぼやけてしまうからだ。
VR番組のとても大きな魅力と幾つかの課題を感じる展示だった。


■各放送局のVR番組への取り組みと課題

そんな会場の一角で、「テレビ×VR~本格化する体験配信、テレビ局が挑む360°メディアの未来~」と題して、大手民放局によるパネルディスカッションが行われ、現在のテレビ各局のVRへの取り組みが紹介されていた。

TBSが紹介していたのは、スポーツ番組「SASUKE」のPR動画。巨大な競技会場を隈なく紹介するもので、その巨大さが良くわかる映像だった。フジテレビはドラマの撮影現場を360°カメラで撮ったものを紹介していた。「撮影現場の裏側を見たい」という視聴者のニーズに応えたものだった。
また東海テレビでは、情報番組の中にVRのレポートコーナーが設けられ、レポート映像を番組のキャスターがVRヘッドマウントディスプレイで見て感想を述べ、番組後にサイトでVRレポート映像を配信するという取り組みが紹介されていた。
他にも番組とイベントのコラボで使用するなど、各局で様々な取り組みが行われていた。
またVR先進国アメリカでは、報道、情報番組に多く使われ、特に臨場感が伝わり易い報道番組で使われていることなどが紹介されていた。

SASUKE2017 360度動画PR
https://www.360ch.tv/videoview/287

SASUKE2017 ここがみどころ! VR
https://www.360ch.tv/videoview/311

フジテレビVRサイト
http://vr.fujitv.co.jp/fodvr/

東海テレビ「VR TOKAI」


ただパネルディスカッション全体を通しては、まだまだTV番組本体で使われている例は少なく、PRやサイトでの特典映像など付加価値的なものが多く、手探り状態である印象を受けた。さらに課題も挙げられ、前述にもあった通り遠くのものを撮るのが難しい点や、ビジネスとして収益が上がっていない点が挙げられた。またテレビ朝日からは、現在の若者のVRに対する評価として、「響いていない」という意見が述べられた。インスタグラムやスノーなど、「共有」というキーワードが現在の若者には必要であり、VRにも「共有」という要素が加わればもっと普及するのではないかというもので、印象に残る意見だった。

今回のイベント視察では、VRを活用したTV番組づくりは、“まだまだ試作段階”という印象が強かったが、同時期に開催された「ワイヤレスジャパン2017」では、今後の可能性を垣間見れる展示がなされていた。
後編は「ワイヤレスジャパン2017」からTV番組とVRの将来を考察します。


>>後編へ続く


「Connected Media Tokyo 2017」
http://www.f2ff.jp/cmt/


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(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。


 

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