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「検索数1位」「昭和レトロ」「おふろcafé」進化する温浴施設
-縮小市場で人を集める戦略とは- 後編

2018.02.02


一般的な銭湯に、露天風呂、ジャグジーバス、サウナ、レストランやマッサージ室などを加えるなどして、施設の付加価値を高めた「スーパー銭湯」や「健康ランド」といった温浴施設。
そんな温浴施設で、今、新しいコンセプトを加え運営し、業績を伸ばしている施設があります。前編では女性をターゲットにしたものや昭和レトロな温浴施設を紹介しましたが、後編では、人気を集める新業態「おふろcafé」を紹介します。


「おふろcafé bivouac」 ゲームを楽しむお客さん


■「おふろcafé utatane(ウタタネ)」


ofuro café utatane


「玉川温泉」を運営している温泉道場が、2013年に運営を始めたのが埼玉県さいたま市にあるofuro café utatane。経営不振で閉店していた普通のスーパー銭湯を譲り受けて始まりました。
若い女性をターゲットに、くつろぎの空間である「おふろ」と最先端でお洒落なイメージのある「café」を組み合わせることで生み出された新しい温浴施設の業態です。

そんな「おふろcafé」に、さらに「グランピング」という要素を組み合わせたのが「おふろcafé bivouac」です。


■「おふろcafé bivouac(ビバーク)」


「おふろcafé bivouac」外観


2016年9月、埼玉県熊谷市にオープンしたのが、「おふろcafé bivouac」です。元々健康ランドだった施設を借り受けて温泉道場がリノベーションしました。
代表取締役社長の山崎氏によると、新規で建設すれば10億円ぐらいの費用がかかるところ、1/3~1/5の費用でリノベーションしたとのことです。

「グランピング」とは、グラマラス(glamorous)×キャンピング(camping)をかけ合わせた造語で、優雅な時間を満喫できる、贅沢なキャンプのことです。この通常アウトドアで行う「グランピング」を、「おふろcafé bivouac」は全てインドアで味わえることをコンセプトにしています。

施設内に入ると、まずテントや自転車などアウトドアグッズが目に付きます。暖炉を備えたラウンジがあり、木のぬくもりが感じられる空間の中で、寝転がって漫画を読む人、ハンモックに揺られて休んでいる人など、思い思いにゆったりとした時間を過ぎています。また館内には1万冊以上の漫画が揃い、コーヒーは無料で飲み放題なので、インターネットカフェのように過ごすこともできれば、パソコンとWi-Fiを完備したワークスペースがあるので、シェアオフィスのように使うこともできます。





一方で、その隣にはボルタリングの施設や、隠し部屋の様な感覚で楽しめるウッドテラスが設けられており、その上ではボードゲームなどを楽しむことも出来ます。


「おふろcafé bivouac」 ボルタリングの施設


「おふろcafé bivouac」 ボードゲームを楽しむお客さん


「おふろcafé bivouac」は、ゆったり過ごす「住」の空間と、ワイワイ過ごす「遊」の空間が融合して調和している不思議な空間となっています。

山崎氏によると、ofuro café utataneのように若い世代の女性と、ファミリー層をターゲットにした“小さなテーマパーク”だと言います。

またインスタ映えや、メディアに取り上げられることを意識して、内装にはこだわり、温泉の本だけでなく、ファッション誌からも取材があり、PRにつながっているとか。

山﨑氏は全国の商業施設に行くのをライフワークにしており、他の業種の空間づくりも参考にしています。
「居心地の良い空間があったら、その居心地の良さはどこから生まれているのかを考えます。開放感がありながらも、視界を遮って他の人からは見えづらいレイアウトにしたり、快適さを生み出すポイントはいくつかあります。」

そして市場が縮小傾向にある温浴施設業界にあって、温泉道場は2011年の創業以来、6年間で7倍に業績を伸ばしていると言う。それについて山崎氏は、「市場が縮小していると言っても人がいなくなったわけではありません。マクロな視点でみれば、今後も観光、余暇産業は伸びていきます。重要なのは、マーケティング、競合との差別化、そしてお客の来店動機をしっかりさせることです。新しい価値観を先取りした施設を今後も作っていきます。」と語ります。



■取材を経て

2017年のレジャー白書によると、「スポーツ、日帰り、住居周りの余暇がじわり人気」傾向にあるとデータ分析されています。 
ただ、これは一般的な「身近な余暇」の需要が上がったのではなく、むしろ、非日常の世界への誘因が身近にあることが求められているのではないでしょうか。昭和レトロについても、それによって高年層の客層がファミリー層にシフトしたことを考えると、ノスタルジー喚起以上に、子供にとっての非日常感が受け入れられているのではないかと思います。
おふろcaféについても、ただおふろの横にカフェがあるのではなく、ハンモックやキャンプ場、ボルタリングなどのコンセプトでキャンプ気分が味わえるところがヒットの要因だと思われます。
一方で、同時に重要なのが、ただ奇抜で非日常感があるだけでなく、「居心地の良い空間」であるということが、山﨑氏の言葉から分かります。
居心地がよく、かつ非日常を感じられる、そんな場所が身近にあるということが、今求められているのではないでしょうか。

>>前編はこちら


おふろcafé utatane
https://ofurocafe-utatane.com/
おふろcafé bivouac
http://ofurocafe-bivouac.com/
温泉道場
http://onsendojo.com/


本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。


 

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