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GODZILLAはリメイク?リイマジニング?
~欧米で注目されるリイマジニングの可能性

2017.12.22

2017年11月7日より、『GODZILLA 怪獣惑星』が劇場公開されています。Netflixでの配信も予定している本作ですが、巨大なスクリーンでCGアニメーションのゴジラを堪能できるとあって、劇場へ足を運んでいる人も多いのではないでしょうか。

三部作の第一部となる本作では、怪獣の脅威により地球を追われた人類が、宇宙に安息の地を見つけられずに、ふたたび地球へ戻るところから始まります。人類が光速度で宇宙を旅している間に、地球では2万年が経過し、その間にゴジラは地球の生態系の頂上に君臨しているのです。


GODZILLA 怪獣惑星 © 2017 TOHO CO.,LTD


時空間を、未来へ宇宙へと拡張し、壮大な世界観をベースにした本作では、かつて侵略者として”どこかからやって来る存在”だったゴジラが、地球に君臨する”そこにいる存在”として描かれています。そこに、新鮮さを感じた人もいるかもしれません。また、浦島効果による生態系の進化が、どこか『猿の惑星』を彷彿させるように、ノスタルジーを感じた人もいるかもしれません。やや、説明台詞が多いところもありますが、豪華声優陣を存分に堪能した声優ファンもいるのではないでしょうか。

CGアニメーションの表現やSF設定はもちろん、こうしたディテールに、新鮮さやノスタルジーを感じることができるアニメーション版『ゴジラ』。第二部、第三部への期待が高まります。

さて、『GODZILLA 怪獣惑星』をはじめ、過去に何度も製作されているゴジラシリーズ。記憶に新しいところでは、2016年の『シン・ゴジラ』があり、2020年には『Godzillavs. Kong(ゴジラVSキングコング)』の公開も控えています。

これらの作品は、『ゴジラ』のリメイクなのでしょうか?それとも、リブート、リイマジニングなのでしょうか?


■興収上位の70%を占めるリメイク作品

リメイク、リブート、リイマジニングなど多くの呼び方がありますが、欧米では、原作や原案をもたない全くのオリジナル作品以外をリメイクとしています。再映像化はもちろん、小説やコミックの映像化も、既存キャラクターを使用したゲームも、続編やスピンオフも、広い意味ではリメイクということになります。

こちらは、2010年~2016年の北米興収上位50作品の、オリジナルとリメイク比率を示した集計結果です。(データ出典:Box Office Mojo)


北米興行収入Top50におけるオリジナルとリメイクの作品数


50作品のうち35作品前後、実に70%をリメイクが占めています。このうち、数十年前からトレンドとなっているのが「リブート」、近年のハリウッドを中心にトレンドとなっているのが「リイマジニング」です。

今回は、『GODZILLA』など近年の例も織り交ぜながら、「リイマジニング」の可能性について考えて行きます。


■『GODZILLA 怪獣惑星』はリイマジニング作品

リメイク、リブート、リイマジニング――これらのことばの定義には諸説ありますが、欧米の映画評論家や研究者の間では、内容の改変度合や適用される手法によって、分類を試みています。

こちらは、一部の評論家や研究者の発言を定性的に整理した表となります。正式な名称がない手法には、仮称をつけています。


改変度合と手法による、リメイク、リブート、リイマジニングの整理


これらの整理によると、改変の度合いが大きくなればなるほど、適用される手法も増えて行くことになります。

「リブート」は、数十年前から使われるようになりましたが、『ゴジラ』(1984)が世界最初のリブート作品であると言われています。

通算16作目にあたる『ゴジラ』(1984)は、1954年『ゴジラ』(オリジナル)に立ち戻り、それ以降の作品を一部リセットし、時代性を更新し、新シリーズ「平成シリーズ」をスタートさせます。まさに、”Retcon”や”Update”など、内容改変の手法を用いたリブート作品であると言えます。


ゴジラ(1984年) © TOHO CO.,LTD


また、本作では、大人になった1954年オリジナルのファンをターゲットとしています。その結果、子ども向けのコミカルな描写は排除され、社会問題などのテーマを更新し、ゴジラを恐怖の対象として描くことになったのです。

一方のリイマジニングは、更に自由度の高い改変であるため、登場人物や世界設定すら変わってしまうこともあります。近年では、ポリティカルコレクトネスの影響もあり、主人公の性別や国籍などを変更するケースも多く、これに伴い、物語や世界設定が改変されることもあります。

『GODZILLA 怪獣惑星』は、恐怖の対象としてゴジラを描いている点ではオリジナルを踏襲しています。しかし、特撮、実写からCGアニメーションに表現が変わり、物語や時代設定、舞台設定など、全く新しい設定としていますので、リイマジニングであるといえます。



■リイマジニングがトレンドとなった理由

しかし、実際には、リメイクもリブートもリイマジニングと呼ばれ、多くのクリエイターが自身の作品をリイマジニングであると公言しています。なぜでしょうか。

こちらは、米国のAmazon.comが運営する映画やゲームなどのオンラインデータベース『Internet Movie Database』がユーザーに行ったアンケートの集計結果です。(データ出典:IMDb”Poll: Most justifiable reason for a remake”)


もっとも正当なリメイク理由とは何か?(2017.12月時点の回答者:1,520人)


最も票が集まった理由は、「ストーリーアイディアはよいが作品としての出来栄えがよくないから」、次いで、「制作者が新たな視点や解釈を持っているから」となっています。

これらは、体験者がクリエイター独自の解釈や表現に期待している、と捉えることもできます。特に後者は、体験者が、既に知っている内容に対しても、新しい驚きを求めていることの表れではないでしょうか。

かつてリメイクといえば、単なる焼き直しや再現性を重視するなど、映像技術のアップデートが中心でした。現代のリメイクでは、テクノロジーの更新だけでなく、アイディアや想像が追加されることを前提としています。しかし、こういったニュアンスの違いを表す言葉がないのです。

”リメイク”と言うと、クリエイターはオリジナリティやクリエイティビティをアピールしきれないこともあり、”リイマジニング”、”リイマジン”という新たなワードを積極的に口にするようになったと考えます。


■リイマジニングの手法と人気作品

海外には、すでにある作品を様々な手法により新たに蘇らせている、リイマジニングのお手本のようなブランドが多数存在します。例えば、マーベルやDC、ディズニーがそうではないでしょうか。ディズニーは、誰もが知る童話をモチーフとしながら、最新の映像技術と表現力で、毎回、新しい驚きを与えてくれます。

また、アメコミ出版社のマーベルやDCには、映画を中心に、統一した世界観をもたせた作品群”マーベル・シネマティック・ユニバース”や”DCエクステンデッド・ユニバース”があります。この、”ユニバース”という考え方が、1つのリイマジニング手法であるといえます。

特に近年、マーベルの映像作品は、非常に好調です。


北米興行収入Top10におけるマーベル作品数/興行収入


ユニバースを形成するには、それぞれが単独シリーズと成り得るような、主役級のキャラクターが複数人必要です。それぞれの設定はもちろん、クロスオーバーを前提とした場合には、整合性を保つための統一ルールが必要です。世界のルールを定め、年表や各舞台の位置、相関などを整理する必要があります。

これらが整備され初めて、スピンオフやクロスオーバーが可能となるのです。

逆にいえば、ユニバースがきちんと整備されていれば、キャラクターを投入するだけでストーリーが生まれやすくなります。また、統一ルールを基にどう個性を発揮するか、クリエイターの腕の見せ所でもあります。


実は世の中にまったく新しいものはない、全ては古いもののマイナーチェンジである、と考えることもできます。例えば、若者は知らないからこそ新鮮に感じるでしょうし、年配者は、知っているからこそ驚きを覚えるでしょう。
同じ作品であっても、違う体験ができる。それこそ、リイマジニングの根底にあるものであると考えます。


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(記事:菅 ななえ)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。


 

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