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FRI’s eye




“その瞬間を、その目で。”
「FUTURE MOBILITY SUMMIT 2017」レポート

2017.12.13

「モビリティの未来が決する場として、東京ほどふさわしい街はない。最も影響力を持つアイデアが生まれる瞬間に立ち会おう。」そんなキャッチフレーズで開催されたのが、東京モーターショーの公式併催イベント「FUTURE MOBILITY SUMMIT 2017」。今回はこのイベントをレポートします。


「FUTURE MOBILITY SUMMIT 2017」(左からゴーハー氏、星野氏、パーバ氏、清水氏、高橋氏)


先日10月24日、「FUTURE MOBILITY SUMMIT 2017」が両国国技館において開催された。このイベントは、「未来のモビリティを想像する場」、「自動車産業、先端テクノロジー企業のトップが出席し、移動の未来、そして理想的な都市づくり、特に東京の都市づくりへ向けたアイデアを語り合う場」としてパネルディスカッションが行われた。

6つのテーマでセッションが行われたが、その中でFRIが注目した2つのセッションを紹介したい。


■都市化の未来-都市化とモビリティ

まずファシリテーターのキアン・ゴーハー氏による始まりの挨拶が行われた。
「テクノロジーの進化とともに人々の移動手段は進化し続けている。しかし人々が持つ“移動したい”という欲求は変わらない。未来のモビリティはどうなっていくのだろうか?」
ゴーハー氏によると、モビリティの未来を考えていくうえで、解決しなくてはならない課題が4つあると言う。


ファシリテーター キアン・ゴーハー氏


①都市計画:2050年にはほとんどの人が都市に住んでいると予想されている。このように人々の都市移住が進んでいくと、当然交通量も増える。都市計画はモビリティとも密接に関係していると言え、モビリティの未来を語る上では、都市計画の未来についても考える必要がある。
②CO2の排出:環境汚染への対策、すなわちCO2排出量をいかに減らすか、ということ。
これまでハイブリッドや電気自動車(EV)など様々な技術が生み出され、モビリティによるCO2排出量は減少しつつあるが、引き続き取り組むべき課題である。
③事故:交通事故の90%は人的過失が原因と言われている。未来のモビリティはこれらをどう減らしていけるのか。
④高齢社会:いくつになっても人は遠くへ出かけたいと思うものである。しかし、今の高齢者は交通手段が限られてしまっている。

これらの課題に対し、モビリティが出来ることは3つあるとゴーハー氏は語る。

①電気自動車化:安全で、エコで、便利。2030年にはガソリン車より安くなり、2035年にはよりたくさんの電気自動車が売れ、ガソリン車の比率は急激に減少するだろう。ただしグローバルな枠組み作りが必要だ。
②自動運転:ある調査によると、車購入希望者の37%が、自動運転車があるならそちらの方が望ましい、と回答している。自動運転車への期待は大きい。
③サービス化:たとえば北京では自転車のシェアリングサービスが急速に進んでいる。この影響で、北京のガス排出量が減少したとも言われている。
この他、個人で使えるオンデマンドデリバリーサービスも考えられる。

このキアン・ゴーハー氏の話を受け、スピーカーによる意見交換が行われた。

首都大学東京 大学院の教授 清水氏は東京オリンピックを大きなチャンスと語った。ロンドンオリンピックはレガシーという言葉が注目され、オリンピック後の施設やインフラへの考え方が変わってきた大会となったが、東京オリンピックも様々なモビリティ都市計画の実験を行うチャンス。その知見はアジアの都市の街づくりに大きな影響を与えるとした。

インドネシアのエネルギー省などの担当官であるパーバ氏は、鉄道の特性がいきる東京の環境に対して、人口密度が高いジャカルタなどインドネシア都市部について話した。インドネシアでは人口増加に伴いバイクの台数が上昇し、シェアも他と比べて圧倒的なものになっている。またこの人口密度の高さは都市部の課題とも直結しており、洪水・渋滞による経済損失や廃棄物による環境破壊が生み出されている。

Uber Japan執行役員社長の高橋氏は、カーシェアリングが存在する中でいちばんの移動手段なのだ、という感覚を高めてもらう必要があり、そのためには誰でも簡単にシェアリングサービスを受けられるプラットフォームの構築が重要な課題だとした。他にも、シェアリングサービスが普及したとしても運転する人手が足りなくなる可能性もあるので、いずれはシェアリングだけでなく、自動運転車も合わせた2つの車が普及していくだろう、と語った。

日産自動車執行役員の星野氏は、渋滞や事故などを解決していくソリューションとして、自動車メーカーはEVと自動運転に集中していると語った。そのために日産自動車はリーフのマスプロダクションを進めている。また、DeNAとロボットタクシー、無人の運転でどういうサービスが出来るかの実証実験を予定しているとも語った。「ラストワンマイル」問題は日本でも高齢化が進み重要になってきており、そこに向けて街とコラボしながら実証実験をしているという。そして最後に、これから自動車メーカーにとって、非常にエキサイティングな時代に突入しようとしていると結んだ。


■バーチャルモビリティ

ファシリテーターのキアン・ゴーハー氏と、スピーカーの東京大学大学院の教授 暦本純一氏でディスカッションが行われた。


東京大学大学院 教授 暦本純一氏


暦本氏は、「人間拡張(Human Augmentation)」を研究している。AIも含めたテクノロジーが人間の能力を伸ばし、拡張するという研究だ。将来は、テクノロジーが人間と一体化して、時間や空間の制約を超えて個々の能力を活用しあえるネットワーク環境が整うと考えており、暦本氏はそれを「IoA(Internet of Abilities)」と呼んでいる。


「IoA(Internet of Abilities)」イメージ


まずドローンを飛ばして、その視点をVRゴーグルで見ることで、人は物理的に離れたものを見る、そして体験できると暦本氏は語った。そのドローンを他人が被る、身に付けることで体験を共有できるようになる。この共有できる状態を、「ジャックインする」と暦本氏は呼んでいる。




ただしこの体験にはAIによる補足が必要だと言う。例えば、鉄棒で大回転をしたとする。これをそのまま映像で見ると、映像がグルングルン回って、何が起きているかわからない。大回転している人は、鉄棒を見ていて、周りの景色が変わるだけ。そこでAIが映像を大回転している人が感じている視点に補足してあげる。それにより人は他人の経験を、バーチャルを使って、リアルに経験できるようになる。

この「ジャックインする」状態を応用することで、凄くリアルなスポーツ中継や旅行体験などが考えられる。




さらに様々な応用が考えられる。例えば人物AがVRゴーグルをつけ、人物Bがドローンをかぶる。このドローンにモニターをつけ、Aの顔を映すことでBをアバター化することができる。このBにAが指示することで、別の場所の会議に出席して、プレゼンテーションをしたり、議論したりできる。まさにテレポーテーションの感覚になる。
もちろんBは人でもロボットでも良い。



バーチャルモビリティという観点で言えば、田舎に住んで、物理的に離れた都会で仕事をする、というようなこともできる。これにより都市の集中化などの様々な課題に対応できるようになると暦本氏は語る。


■サミットに参加して

都市化と人口密集という課題に対して、モビリティは一つの解決策だが、それは自動車市場だけで完結する話ではない。
EVなどの技術開発にはDeNAなどの企業が参入し、シェアリングサービスにおいては、Uberなどのベンチャー企業の実績が参考にすることが出来る。
また、その新しく生まれたモビリティがゲーミングの要素を持ち、移動がエンタメの要素を持っていくことありえる。
自動車市場の閉塞感が言われている中だが、モビリティというテーマは、都市・人・エンタメ全てを繋ぐ要素であり、夢が詰まった分野である。
引き続き注目していく。


FUTURE MOBILITY SUMMIT 2017
http://www.future-mobility-summit.com/


本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

 

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