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2.5次元ミュージカルにアニソン、そして新鋭ながら人気急上昇中の音楽バンドNulbarich !
「東京国際ミュージック・マーケット」レポート 前編

2017.11.10

10月23日(月)、24日(火)、25日(水)、渋谷と池袋を会場に、日本音楽の海外進出を目的とした「第14回東京国際ミュージック・マーケット」(以下、 TIMM)が開催されました。多彩なイベントが開かれ、日本と海外の音楽会社によるビジネスマッチングが行われました。
そんなTIMMの中で、FRIが注目したセミナー「急成長2.5次元ミュージカル」、「アニソン世界へ」、そして世界進出を目指す話題の新鋭アーティストが続々登場するTIMM LIVEをレポートします。


TIMM LIVE アーティスト「Nulbarich」


TIMM 会場の様子


TIMMでは様々なセミナーが行われた


■セミナー「日本発、世界標準ミュージカル。2.5次元ミュージカルの可能性」


(左)日本2.5次元ミュージカル協会 代表理事 松田誠氏 (右)日本2.5次元ミュージカル協会 理事 中山晴喜氏

2.5次元ミュージカルとは、漫画、アニメ、ゲームを原作とした舞台化の総称。国内外での認知も急速に高まっている。スピーカーは松田誠氏(日本2.5次元ミュージカル協会 代表理事)、中山晴喜氏(同協会 理事)。

まず代表的な作品が紹介された。『テニスの王子様』(※1)、『刀剣乱舞』(※2)、『NARUTO -ナルト-』(※3)、などなど。特に印象的だったのは映像で紹介された『弱虫ペダル』。自転車競技の物語でありながら、自転車を使わず、役者による足踏みで熾烈なレースの様子が演じられた。2.5次元ミュージカルは、まさに観客の脳内補完の賜物だと松田氏は語った。


『テニスの王子様』


『弱虫ペダル』


次に歴史が語られた。松田氏によると、日本で最初に行われた2.5次元ミュージカルは1943年の『ベルサイユのばら』(※4)ではないかとのこと。そこから1991年までが誕生期、1997年までが成長期。成長期の印象に残っている作品は、初めて声優のみによる公演を行った『サクラ大戦』(※5)。そして1997年以降が、開花期と位置付けた。開花期に入り、市場はジワジワと大きくなっていったが、『テニスの王子様』などの大ヒットをはじめ2011年を境に急激に市場が大きくなった。2011年時点で年間動員数は39万人、作品数48タイトルだったが、2016年には150万人、作品数は133タイトルまで達した。


『ベルサイユのばら』


『サクラ大戦』


現在、2.5次元ミュージカルは多角化し、キャラクタービジネスの様相を呈しているという。公演そのものの収益よりも、CD/DVDの販売、配信・放送、コラボカフェ、そして特にマーチャンダイジングなどの周辺ビジネスが収益の大きな割合を占めている。一度の公演で、20商品ぐらいが販売される。

周辺ビジネスの一つに、ライブビューイングがある。公演の千秋楽に各地の映画館などで行われるが、多い作品で5万人を動員する。国内の最もメジャーなアイドルでライブビューイングが7万人と言われており、それと比べても、いかに人気を博しているかがわかる。

客層は、年齢層は広いが20代半ばが中心、そして90%から95%が女性だとか。中山氏は「男性はモノ消費が中心。コト消費、思い出時間にお金を使う女性が多いのでは。」と分析する。


『NARUTO -ナルト-』


海外進出も積極的に行っている。
初の海外進出は2008年、『テニスの王子様』の公演を台湾、韓国、香港で行った。
以降、マレーシア、タイ、インドネシア、中国、オーストラリアなどアジア圏を中心に公演が行われた。またフランスでのジャパン・エキスポ、米国でのアニメ・エキスポ内でも行われた。

そしてインバウンド対策も積極的だ。
2015年から日本2.5次元ミュージカル協会が直接運営している専用劇場「アイア 2.5 シアタートーキョー」(※6)では、字幕メガネが使用され、海外からの観客は日本語のセリフを翻訳した3か国語の字幕で見ることができる。また、現在、海外からチケットを直接買えるようになっている。


『刀剣乱舞』


そんな2.5次元ミュージカルにも課題があると松田氏は語る。

まず深刻なのが国内の劇場不足だ。
2.5次元ミュージカルは好調なものの、国内の演劇市場は厳しく、劇場は減少しつつあると言う。そのため劇場の確保が難しく、現在、人気の劇場は、演目の決まらない状態で2020年まで埋まっている。

海外進出についても課題がある。
ビジネスモデルとしては、日本で基になる舞台を作って、それを現地の役者やスタッフで公演する、いわゆる現地版で公演する形が最も望ましい。日本人の役者も行かなくてすみ、複数の国で同時に公演できるからだ。
しかし、かつてブロードウェイのミュージカルを、米国人が演じないと、例えば日本で日本人が演じると“偽物”と言われたように、海外では2.5次元ミュージカルは日本人が演じないと“偽物”と思われる傾向があるという。
これが海外市場の拡大の足かせになっているのだとか。


こうしたクリアしていくべき課題はあるものの、市場拡大を続ける2.5次元ミュージカル。現在の潮流は、舞台と共に、ゲーム、アニメ、ドラマなど、複数のメディアで同時に走らせる形だと言う。それに応じてプロジェクトも10億円規模と大きくなっており、さらなる市場の拡大が図られている。

後編では、アニソンとTIMM LIVEの模様をレポートします。


>>後編はこちら


TIMM(第14回東京国際ミュージック・マーケット)
https://www.timm.go.jp/jp/

日本2.5次元ミュージカル協会
https://www.j25musical.jp/

(※1) 『テニスの王子様』
https://www.tennimu.com/
(※2)『刀剣乱舞』
https://musical-toukenranbu.jp/
(※3)『NARUTO -ナルト-』
http://www.naruto-stage.jp/
(※4)『ベルサイユのばら』
http://kageki.hankyu.co.jp/versailles/
(※5)『サクラ大戦』
http://sakura-taisen.com/
(※6)「アイア 2.5 シアタートーキョー」
http://aiia-theater.com/


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(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。


 

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