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最新VR体験スポットから見えた、VR3つの潮流 Part3

2017.08.09

今、最も注目を集めているエンターテイメントの一つ「VR」は、3つの潮流で発展しています。Part3では、日本最大級のVR体験スポットを紹介するとともに、VR体験スポットのこれからについて考察します。


『極限度胸試し ハネチャリ』


■協力スポーツ型-攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds

7月14日にオープンしたのが、日本最大級のVR体験スポット「VR ZONE SHINJUKU」。
敷地1.100坪という巨大な空間に、「思わず我を忘れ取り乱してしまう」をコンセプトにしたバリエーション豊かな15種類のアクティビティが揃っています。


「VR ZONE SHINJUKU」


取材時に体験したVR機の中で、おススメは『極限度胸試し ハネチャリ』。羽のついた自転車を使って、空中レースを競うものですが、ペダルをこぐ力が浮力になっていて、その感覚が実にリアルです。うまくグライダーしている時は気持ちよいのですが、ちょっと油断すると、凄い高さから一気に落下してしまい、実にヒヤヒヤします。高所恐怖症と空を飛ぶ爽快感を一度で味わえます。


『極限度胸試し ハネチャリ』 崖の先からスタート…高い!!
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


そして今月登場予定の「協力スポーツ型」VRコンテンツが『近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds』です。『攻殻機動隊』の近未来都市を舞台に、4vs4の計8名まで参加できるチームバトルのサバイバルシューティングです。プレイヤーは主人公の草薙素子が召集した特殊部隊と、テロリスト集団に分かれ、20m×12mの専用アリーナで戦います。
最大の特徴は作品中にも出てくる「光学迷彩」によって自分の姿を消せること。しかし音が見えるシステムのため銃を撃つと自分の場所がわかってしまいます。自分の場所を隠しながら、相手の場所を探りながらのステルス戦が展開します。大いに期待できそうです。


『近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds』専用アリーナイメージ

バンダイナムコエンターテイメント 田宮幸春氏

※※今回の「VR ZONE SHINJUKU」プロジェクトの中心となったバンダイナムコエンターテイメント社の田宮さんによると、ターゲットは「一般の方」。USJのようなテーマパークなどの選択肢の一つとして「一般の方の特別な1日」を目指したとのことです。特に女性客を意識したとのことで、NAKED社と組んで、外壁やエントランスなどプロジェクションマッピングでアート感のある光の演出を加えました。現在の客層は男性6割、女性4割ですが、徐々に女性が増えているそうです。


プロジェクションマッピングのエリア


そして田宮さんが集客の戦略として拘った点があります。これまで期間限定のVRイベントなどで数々の実証実験を行ってきました。そこで客層は20代が大きな山となっていましたが、例えば「ボトムズ」といったIPを使ったVRコンテンツについては、20代と40代の2つの山ができました。そこでVRは元来“体験しないと魅力がわからない”ものなので、幅広い客層を引き付けるために、「IP押し」の戦略をとり、今回は多くのメジャーな作品、『ドラゴンボール』や『エヴァンゲリオン』などとのコラボを行いました。


『ドラゴンボールVR 秘伝かめはめ波』

『エヴァンゲリオンVR The 魂の座』

『エヴァンゲリオンVR The 魂の座』


一方で、IPを使うことでの苦労もあったと言います。
オリジナル作品の場合、「驚かす」などVR的な体験をまずデザインし、後から世界観を設定すれば良いのですが、IP作品の場合、IPの世界観を守ったうえで(IPの王道を外さないように)、VR的な体験を加えるのが非常に難しかったそうで、かなり試行錯誤を繰り返したとのことです。

そんな過程を経て、現在、平日でも非常に多くの客が訪れている「VR ZONE SHINJUKU」ですが、田宮さんは、VRエンターテイメントという市場を確立し、さらにビジネスとして安定させたいと語ります。


■今回わかったこと

まだ歴史の浅いメディアということもあり、取材を通じて、運営側も手探り状態にあるという印象を受けましたが、その分多くのユーザーのニーズに応えようと、コンテンツもシステムも多様な進化を遂げています。
特に元来VRは「場所を取らない」という特徴があり、リアルな遊園地などに比べると、運営側にとっては「設置コストを抑えられる」、ユーザーにとっては「郊外ではなく身近な場所にある」というメリットがあります。ますます“手軽に非日常を味わえる”都市型エンターテイメントとして多くの人を集めていくのではないでしょうか。

一方で課題も感じます。コンテンツがやり切りタイプのものが多く、リピーターを獲得するための継続性に疑問が残ります。コンテンツの「やりこみ要素」の工夫や、新規機種の断続的な投入などが必要になるのではないでしょうか。

もう一点、価格設定が全体的に、若年世代にとってはやや高い印象があります。



FRIが行っている『Fields Yoka Survey』(※1)調査によると、全ての年齢層の中で、VRHMDの購入意欲が高いのは高校生。つまり最も高い体験意欲を持っているのは高校生と考えられます。
しかし今回取材した施設で高校生の姿はほとんど見かけませんでした。高校生の平均小遣いが7,600円/月(『Fields Yoka Survey』調査)、一方今回取材した施設で平均プレイ料金が約3,000円であることを考えると、さらなるユーザー層の拡大のためには、高校生をターゲットにした割引など、新たな価格設定が必要なのかもしれません。

いずれにしても大きな将来性と可能性を感じる今回のVR体験スポットの取材となりました。


>>Part1はこちら

>>Part2はこちら


VR ZONE SHINJUKU
https://vrzone-pic.com/

(※1)「Fields Yoka Survey 2017」
2016年12月に、全国の小学生~69歳の男女11,646人に対し、余暇に対する行動や、価値観などについて実施したWebアンケート調査。


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(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。


 

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