Fields
About Us
 
 


FRI’s eye




世界初の試み!
東京藝術大学『クローン文化財展』開催決定

2017.07.28

世界中には様々な絵画や彫刻、壁画などといった歴史的な文化財が存在しています。それら貴重な文化財は、現在、永い時間の経過の中で劣化が進み、いかにして保存していくかが社会的にも大きな問題となっています。

-クローン-

そんな文化財をクローン技術で後世に伝えていこうとする、全く新しい取り組みが、今始まっています。今回は世界初となる『クローン文化財展』開催の記者会見の模様をお伝えします。


■クローン文化財とは

先日7月14日、東京藝術大学にて『素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生』展の記者会見が行われました。この展示会は、来る9月23日(土)から10月26日(木)まで、東京藝術大学大学美術館で開催されます。


記者会見の様子


ところで「クローン文化財」とはいったいどのようなものでしょうか。会見に臨んだ東京藝術大学大学院の宮廻教授よると、単なるコピーなどとは完全に一線を画すもので、文化財の素材や形状・技法の研究・科学分析から入り、3Dプリンタなどで再現できるとことは再現し、細かい部分は美術生が色や質感を、デジタル技術とアナログ技術を組み合わせながら、文化的背景など、芸術のDNAに至るまで完全に再現します。さらに、例えば壁画や彫刻などは長い年月により欠損していたり、薄れてしまっている部分がありますが、そういった部分も資料などをもとに、オリジナルに忠実に再現されます。ある意味、現存する文化財を超える部分もあると言います。
因みにこの「クローン化」技術は、東京藝術大学が特許を持っているとのことで、他者が安易にクローン(贋作)を作ることができないようにしているとのことです。


左から東京藝術大学特任教授 伊東順二氏/大学院教授 宮廻正明氏/客員教授 前田耕作氏/特任教授 千住明氏


■シルクロードを完全再現!


そして今回開催されるシルクロード特別企画展「素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生」は、クローン文化財により復元された古代シルクロードの貴重な仏像や壁画が展示される、世界で初めてのクローン文化財のみで構成される企画展です。
かつて西の文化が東の文化と融合を繰り返しながら、シルクロードをわたり、日本へと伝わってきました。日本ではその文化を受容し、模倣し、変容し、そして超越したジャポニズム文化を生み出したと宮廻教授は語ります。そのジャポニズム文化の象徴とも言える法隆寺の釈迦三尊像、門外不出で現在は見ることのできない像が再現展示されます。欠落した螺髪や白毫、そして大光背周縁に存在したと想定される飛天なども再現されます。
また1949年に焼失した法隆寺の金堂壁画12面も復元されます。


クローン作製途中の釈迦三尊像


さらに、「東洋のヴィーナス」と称される中国・敦煌莫高窟第57窟。キジルで最も美しい壁画窟と言われた新彊ウイグル自治区・キジル石窟航海者窟壁画。
そして2001年に破壊されたアフガニスタン・バーミヤン東大仏天井に描かれていた壁画「天翔る太陽神」などが、再現・復元され、現代に蘇ります。


クローンのパーツ



■クローン文化財の意義

前述の宮廻教授によれば「クローンは所詮クローンであり、オリジナルではない」という意見を唱える人や、著作権や贋作の問題など、まだいくつかの課題はあると言います。

しかし「クローン文化財」は古くからのジレンマである「保存と公開」の問題の解消を目指したものです。劣化する文化財の保存には非公開が最良の選択ですが、公開されないと価値が共有できず、本来の存在意義が失われてしまいます。文化財保護は経済活動との“せめぎ合い”が懸念される場合も多いですが、「クローン文化財」の技術は、制度と質感を併せ持つ「保存(学術)と公開(経済)」を両立させる新たな手段として、国際社会から大きな注目を集めていると言います。


クローン作製途中の壁画

クローン作製の工房


■展示会に向けて


様々なメリットを持ち、大きな可能性や将来性を感じさせる「クローン文化財」。9月の展示会開催に向けて注目が集まります。


<開催概要>

シルクロード特別企画展
「素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生」

・会期:平成29年9月23日(土)~ 10月26日(木)

・会場:東京藝術大学美術館

・特設サイト
http://sosin-densin.com/


(記事:中村 健一)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。


 

space

Fields

JAPACON