Fields
About Us
日本語 | English
 
 


FRI’s eye




ブルゾンちえみの人気の裏にあったトレンド。もしや、東京の女性が大阪のおばちゃん化!?

2018.01.12

■2017年のトレンド

2017年のトレンドを思い返すと、やはり、「35億」が流行語にも選ばれた「ブルゾンちえみ」が思い浮かびます。もちろん、あのキャッチーなフレーズが子供達にもヒットし、流行語になるという流れもありますが、ここ数年はどうも新しい風が吹いているように感じるのです。なにか、大阪の風のようなものが。

■ブルゾンちえみの支持層

さて、ではブルゾンちえみは誰に支持されたのでしょうか。前述の「35億」というフレーズが独り歩きしたこともあるでしょう。しかし、彼女の「男を手玉に取っているデキル女ネタ」は、明らかに女性をターゲットにしたものです。更に、彼女に注目をあつめた「24時間テレビでのマラソン」についても、子供や男性がお笑い芸人に求めるものではなく、女性ファンからの支持に火をつけたものだと思われます。

ここで、今年と去年の『ブレイク芸人ランキング(oricon)』を見ると、他にも2017年は「尼神インター」に、2016年は「横澤夏子」「平野ノラ」「おかずクラブ」「渡辺直美」、2年続けて「ゆりやんレトリィバァ」がランクインしています。女子あるあるネタを武器にする「横澤夏子」、バブルの時代をネタにしながら未経験世代の女子高生に流行した「平野ノラ」、メンバーの渚が男勝りでカッコ良いと女子から人気な「尼神インター」、インスタで女子の憧れの存在となった「渡辺直美」など、女子からの支持がブレイクに繋がっていることが目にとれます。

一方で、10年前の2007年・2008年を見ると、ここでもランクインしている女性芸人は比較的多くなっています。「にしおかすみこ」「柳原可奈子」「エド・はるみ」「鳥居みゆき」「渡辺直美」です。しかし比較してみると、「柳原可奈子」や「渡辺直美」は女性支持が高かったと思われますが、SMネタを扱っている「にしおか」、中高年男性を狙っていた「エド」、ミステリアスで美人なルックスに人気があった「鳥居」は男性からの人気が高かったと思われます。「渡辺」については、10年後に今の形で再ランクインを果たしていることが、むしろ現在のトレンドこそ女性が握っていることを顕著に表していると思われます。
 

■現在のワイドショー・情報番組の変遷

それでは、10年前はあまり女性の影響がなかったのでしょうか。ここで、女性・主婦が日常の中で観る機会が多く、ターゲットにもなっているワイドショー・情報番組について見てみたいと思います。(夕方のニュースなど報道番組は除く)

10年前2007年に放送していた情報番組26番組を見ると、その中でお笑い芸人が司会をしている番組は、「サンデージャポン(爆笑問題)」「スッキリ(加藤浩次)」の2番組しかありませんでした。割合でいうと8%です。(特に、平日に限れば2006年スタートの「スッキリ」のみ)
しかし、徐々に増え始め、2011年には、「にじいろジーン(山口智充)」「ひるおび!(恵俊彰)」「PON!(ビビる大木・岡田圭祐)」「ヒルナンデス(南原清隆)」「ノンストップ!(設楽統)」(「ニュースキャスター(ビートたけし)」)が加わり、今年「王様のブランチ(渡部建)」も合せて、9番組のMCがお笑い芸人に変わり35%になりました。これは明らかに、女性がお笑い芸人への興味・関心が強くなったものだと思われます。


(FRI調べ)

■大阪の状況

ところで、この現象は日本全国のものなのでしょうか。お笑いといえばということで、大阪(関西ローカル)の番組についても見てみました。すると、大阪の番組はほとんどが、お笑い芸人がMCをしていることが分かります。アナウンサーが司会をしている長寿番組『おはよう朝日です』や『ちちんぷいぷい』を見ても、周りをお笑い芸人が固めているのです。

そして、東京(全国ネット)と違うのは、2007年から2017年までこの状況がほぼ変わっていないということです。今も昔も、大阪で情報番組といえば、MCはお笑い芸人です。
そして、その芸人を具体的に見てみると、「上沼恵美子」「ハイヒール」「なるみ」「松嶋尚美」「円広志(※厳密には歌手)」「トミーズ」と、主婦からの人気が高いお笑い芸人が並んでいます。更に、印象的なのが、女性芸人が多いということです。特徴としては、あまり飾らず、思ったことを遠慮なく言えるサバサバした女性が多くなっています。

大阪では、従来から、女性が共感できる人が日常の中で求められ、そして「笑い」が求められていたのでしょう。


(FRI調べ)

■東京の女性の「大阪のおばちゃん」化?

これらを重ねると、東京の女性も、日常に笑いを求めるようになっており、大阪の主婦・・・すなわち「大阪のおばちゃん」化しているといえるのかもしれません。今年2018年もお笑いのトレンドは、女性が笑えるというところをおさえる必要があるのだと思われます。

また、大阪との最大の違いは、女性芸人のMCが東京ではいないということです。ここには、大阪と東京の女性の本質的な違いがあるのかもしれませんが、今、挑戦してみる価値もあるかもしれません。全国を見ると、上記の大阪の女性芸人の様なタイプの人は少ないですが、アラフォーの星として2013年にトレンドランキング1位になったオアシズ・大久保佳代子は、もしかしたら可能性があるのかもしれないと考えています。

「お笑いの価値観は大阪と東京で違う・・・ 」とはよく聞いたものですが、最近は、絶対に東京では難しいだろうと思われていた「千鳥」や、上記の「尼神インター」の様な芸人もブレイクし始めています。2017年のM-1グランプリを見ても、上位6組が大阪で活躍している芸人でした。もしかすると、東京の女性の変化をきっかけに、大阪・東京のお笑いの溝が埋まりつつあるのかもしれません。

参照:
『2017年ブレイク芸人ランキング』
『2016ブレイク芸人ランキング』
『ブレイク芸人ランキング』(2008)
『2007年お笑い総決算!ブレイク芸人徹底解剖!!』

(記事:木村建人)

本記事は、エンタテインメントの研究をしているフィールズ研究開発室(FRI)のメンバーが、日頃の活動の中で気になったことに目を向け、独自取材に基づいて、執筆しています。

 

space

Fields

JAPACON