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コンテンツ東京・特別講演「AI×クリエイティブ」
②栗原聡氏講演レポート
~クリエイティビティの本質と、AIによるイノベーションの鍵~

2017.07.06

6月29日、「コンテンツ東京/AI・人工知能EXPO」において行われた特別講演「AI×クリエイティブ」(速報レポートはこちら)。今回はその中から「クリエイティビティの本質と、AIによるイノベーションの鍵」をテーマにお話しされた栗原聡氏(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授/人工知能先端研究センター センター長)の講演概要をお届けします。






■クリエイティビティが生まれる仕組みとは?



AIのイノベーションをいかに起こすについて、私が考えていることをご説明したいと思います。こちらの図の小さな丸はアイデアや知識の素材です。アイデアや知識の素材、それらの点と点が繋がることでクリエイティブが生れると考えてみます。そして図のアメーバーのような水色の部分を想像力の圏内とすると、この想像力の圏内で点と点を繋げていくわけです。これは普段我々が脳内やっている作業です。

ところが人によって、それぞれ持っている想像力の広さが違います。それに対して、イノベーターと呼ばれるクリエイティブ力が高い人は、この想像力のエリアが広いのかなと思います(右図)。そのため視野が広く、有機的に効率的に繋がるわけです。エリアが広いのでどんどん繋がっていき、そしてついにはエリアとエリアが繋がって、全く新しいアイデアが生まれます。このレベルで生まれるアイデアはイノベーションと言っていいでしょう。これが「クリエイティビティの本質」です。

まとめると、まずは、点と点を繋いであげることが非常に重要だと思っています。アイデアや知識はいっぱいあるわけです。あるのだけれども、我々はそれを繋ぐことができない。ですので、繋がっていない点をいかにして繋げるかがカギになります。

次にその繋いだものを俯瞰で見てみると、この図のような仕組みだと解釈できます。





普段、我々が物をつくる時には、つくりたいものを想像します。例えば車をつくりたいと思ったら、エンジンやボディ、タイヤが必要だと思うわけで、こういった発想の仕方を「ボトムダウン型」と言います。これが一般的なモノづくりの発想の仕方です。

それに対して、先ほど述べたクリエイティビティの発想の仕方は全く逆です。我々人間の体には細胞があって、細胞が集まると臓器ができ、そして人体となります。生物の進化とは下から上にあがっていくのです。クリエイティビティも同じで、アイデアの素材がたまってくれば、その素材が組み合わさり、そして全く新しいアイデアが生まれます。これを「ボトムアップ型」と言います。この発想ができるようになれば、人の発想を超えるものが創発されるかもしれないと、私は考えているわけです。

そして現在、我々の周りにはいろんな素材が溢れています。例えばソーシャルネットワーク上の情報がそうです。このネットワーク上にある素材(情報)を組み合わせることで、全く新しいアイデアを生み出せる可能性があるのです。



■自律性が糸口になる



もうひとつ、人のクリエイティビティを超えるAIを生み出すためのポイントとなるのが「AIの自律性」です。
『アトム ザ・ビギニング』の中に、トラックが暴走するシーンがあります。A106(エーテンシックス)というロボットは同乗者を車の外に投げ出すと、自分の乗っているトラックを敢えて暴走させて横転させます。それによって大事故を防ぐというシーンです。ここで重要なのは、A106が人の命を救うためには、車を横転させることが最善だと自分で考えている点です。言わば「自律性」です。こういった判断は、今のところ人間にしかできません。



■AIはクリエイティブができるか

冒頭に手塚眞さんより、クリエイティブを行うための4つのポイント(「アイデア」「テクニック」「エモーション」「ジャッジメント」)についてお話がありましたが、私なりに思うことを少しお話したいと思います。

まずAIが「アイデア」を生み出すことができるか、という問いについては、先に述べたように「アイデア」というのは、素材と素材をどうやって繋げるかということであり、この研究は進んでいますので、できると思います。

次に「テクニック」ですが、これは作家さんの個性をどう学習していくのか、と言い換えられると思うのですが、ここは松原先生がおっしゃったような、新しいタイプの人工知能(汎用AI)を用いる必要があるのではないかと思います。

そして「エモーション」と「ジャジメント」が、本日お話した自律性と大きく関係するのですが、要は、大きな目的を達成するために今自分の行動をどう選択(判断)するかということです。手塚治虫先生の新作をつくる時にも、この自律性がポイントになってくると思います。この「自律型AI」は、すぐにできるものではありませんが、3~5年後くらいの割と近い将来には、搭載できるのではないかと思っています。


次回(最終回)は、「脳型AIと創造性」をテーマとした、山川宏氏(ドワンゴ人工知能研究所所長/NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアチブ代表)の講演概要をお届けします。



■コンテンツ東京・特別講演「AI×クリエイティブ」の関連記事(全4回)
・【第1回】速報レポート ~AIは手塚治虫のような作品を生み出せるのか?~
・【第2回】松原仁氏講演レポート ~人工知能と創造性~
・【第3回】栗原聡氏講演レポート ~クリエイティビティの本質と、AIによるイノベーションの鍵~
・【第4回】山川宏氏講演レポート ~脳型AIと創造性~


*「手塚治虫デジタルクローン」Projectとは…
『アトム ザ・ビギニング』に登場する、アトムを生んだ若き天馬博士とお茶の水博士が所属する研究室「練馬大学 第7研究室」を実際のAI研究者の方々と立上げ、そこでクリエーターの創造活動を支援するクリエイティブAI「手塚治虫デジタルクローン」を開発することを目指すプロジェクトです。
お問い合わせはこちら。
http://www.7ken.org/

*NHK総合毎週土曜23時から『アトム ザ・ビギニング』アニメ放映中!
http://atom-tb.com/

*コミックは現在月刊ヒーローズに連載中、単行本6巻発売中!
http://www.heros-web.com/works/atom/

*FRIは『アトム ザ・ビギニング』、「コンテンツ東京 特別講演」、「手塚治虫デジタルクローン」Projectを応援しています。


 

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